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2024.12.15
愛知県の瀬戸市は、日本の陶磁器の故郷として知られ、「せともの」の語源となった場所です。19世紀初頭から、陶器と磁器の生産を行う世界でも稀有な産地として栄えてきました。瀬戸で生まれる多様なやきものは、職人たちの高い技術と自然の恵みに支えられ、家庭の食卓に彩りを添えています。
街中には伝統的な窯元や美しい「窯垣(かまがき)」が点在し、昔ながらの風情を感じることができます。また、豊かな自然に囲まれた瀬戸では、四季折々の風景が楽しめます。訪れることで、瀬戸のやきもの文化と温かい人々との触れ合いを体験できる「せと銀座通り商店街」は、瀬戸の歴史が詰まり、昔ながらのホッとできる街並みが魅力の商店街です。その商店街の一角にあるのが「CONERU(コネル) nendo shop & space」です。
「CONERU」を運営する牧(まき)ゆうこさんのパートナーの方は70年続く窯業原料メーカーの5代目。瀬戸の鉱山から採掘した原料を使い、ガラスや土を採取する事業を長年にわたりご家族で展開してきました。
しかし、近年では窯業原料産業の衰退が危惧され、1000年続く瀬戸の重要な文化が危機に瀕しています。原料が工業製品として安価に販売されることで、原料そのものの枯渇や、技術を継承する人材の不足が問題となっているためです。そんな中、「CONERU」の新たな挑戦のきっかけとなったのは、粘土の小売りでした。
陶芸は一般的にろくろを使うため難しいと思われがちですが、「CONERU」では陶芸に関わる人々の輪を広げるため、ろくろを使わずに陶芸に親しめる方法を提案しています。瀬戸の伝統文化を新しい形で未来へとつなげる取り組みが進められているのです。
瀬戸の粘土は、形を変えやすく、その形をしっかりと保持する力が強いという特徴を持っています。また、可塑性(かそせい)が高いため、初めての方でも扱いやすく、形を作りやすいのも魅力の一つです。焼き上がりは非常に美しい白色となり、土っぽさがなく、澄んだ白さが際立ちます。
この白い陶器に青色の釉薬を施すことで、鮮やかな青が映え、一層美しさが引き立ちます。これが瀬戸焼の特徴です。また、赤土を使った場合でも、焼き上がりが白っぽくなり、全体的に柔らかな雰囲気を纏います。
牧さんによると、「瀬戸の土は、初心者やものづくりが苦手な方でも安心して使える粘土です。」とのこと。その柔らかさにより、思い描いた形を簡単に作ることができ、失敗しても修正しやすいため、失敗を恐れずに創作に挑戦できるのが特徴です。一つの作品を作り上げることで、達成感を感じ、自己肯定感を育むことができるため、大人だけではなく、子どもの成長にも大きな効果があるのではないかとも牧さんは語ってくれました。
「『CONERU』では、お客様から『癒やされた』『心がゆったりした』という声を多くいただきます」と牧さんは語ってくれました。お客様が体験を通じて晴れやかな表情で帰られる姿を見て、調べていくと、土に触れることが「幸せホルモン」の分泌に関わっていることがわかりました。これは、ガーデニングで感じる幸福感や癒やしと同じで、土に触れることで心が落ち着き、リラックスできる効果があると話してくれました。
「お客様の反応を見て、人はやはり創ることが好きなんだと気づかされました」と牧さんは語ってくれました。特に、普段あまり創作に関わる機会が少ない大人の方々に、非日常的な体験を通じて自分を表現する喜びを味わってほしいと牧さんは語ります。また、将来的にはCONERUで作られた作品がブランドとなり、お客様自身の作品を販売できる場を提供したいと、今後の展望に関しても教えてくれました。
自然の一部である土を手に感じ、自分の想いを形にしていく作業は、まるで自然との対話のようです。このシンプルでありながら創造的な体験が、私たちの心を豊かにし、癒やしを与えてくれるのです。「CONERU」には、瀬戸ならではの土を通して、癒しと創造の体験が生まれる特別な空間が広がっています。
CONERU(コネル) nendo shop & space
住所:愛知県瀬戸市朝日町28番地
アクセス:名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」より徒歩5分
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。